三日月の絆その3

播磨

播磨

しかし、実際に昇が瑞樹と直接会った事は、この四年間で皆無。立場的に瑞樹が、播磨家の次期頭首と目されている彼女が、播磨から絶縁された自分と会っていると親戚にバレては、後々面倒な事になる。

「手紙ってのは?」

昇がそう言うと字久は懐から一枚の封筒を取り出す。

「瑞樹さんから渡された手紙ですが私も中は読んでいません。早急に渡すようにとは言われていましたが、必ず手渡しでとも注文をつけられていたので今の今まで渡しそびれてしまいました。ひどく焦っていたようにも私には見えたのですが何かあったのですかね」

昇は不思議に思いながらも差し出された封筒を乱雑に破る。

綺麗に折りたたまれた便箋を広げる。万年筆ででも書いたのか、細く、神経質な字体で綴られた手紙。だがその筆跡は、少々震えているように見える。

「どうかしましたか?」

字久がそう問い掛けるほど昇の顔は激変していた。青を通り越して顔色は白くなっている。手紙をぎゅっと握り締めると、

「の、昇君?! 一体何があったのか説明」

字久の叫び声を後ろに、昇は険しい顔付きで走り出した。

手紙に書かれた言葉は簡潔で明瞭だった。

兄さん、そちらは変わりないでしょうか。

 播磨は今、大変なことになっています。

どうか、落ち着いて聞いてください。

搭也叔父様が、何者かに、殺害されました