小僧
「どうした小僧? こんな雷鳴轟く夜に、大木に向かって手を打ち付けるとは。尋常ではないぞ」
めのまえのおおきなひとは、ぼくのてをつかんだままわからないことばをぽんぽんしゃべりだす。
じだいげきでみるようなあみがさをつけていて、つえみたいな、ながいぼうをひだりてにもって、じゃらじゃらしたものをくびにまきつけて……まるで、おぼうさんみたい。
とおくでかみなりがなっていたけど、そんなのはこのひとがでてきたことで、どこかにふっとんでいた。
ぼくにむかって、はなしをしているのはわかるんだけど。
おおきなひとは、つかんだぼくのちまみれのてをみて、
「一体何を為したいのだ、小僧? 訳を」
おおきなひとはあみがさをしていて、かおがぜんぜんみえなかったけど、ひどくおどろいたのが、にぎられたてをとおしてわかった。
「馬鹿な! 『魔封じの刻印』だと?! ……いや……これは」
てをみて、このひとははだまりこんだ。
そして、めを、ぼくにむけた。
ぼくは、ふるえた。
あめは、まだやんでいない。とても、さむかったのだ。
……そう、さむかった……からだも、こころも、さむくて、こわくて、くるしくて……
がしがし、ってらんぼうにぼくのあたまをふいた。うえをみてみると、おおきなひとがふくをぬいで、ぼくのぬれたあたまをふいてくれていた。
「小僧。腹は、減っていないか?」
おおきなひとがてにもっていたのは、ささのはでくるまれたもの。
ぱらっ、てささのはがほどけると、かたちがくずれた、しかくけいみたいな、みたこともないかたちのおむすびが、かおをだした。