三日月の絆その3

三塚

三塚

「兄さん! 起きて下さい、遅刻します!」

 拡声器でも使って叫んでいるのか、と言いたくなる大声。昇の体をユサユサとやや乱暴気味に揺さぶっている。

 さっきは執事のじいさんが起こしにきたんだが……

 こんなに眠いのに起きてられるか!

 まだ七時半になってないんだぞ!

「……あと……一時間は寝れる」

 もっとも、ここから光洋高校までは電車を乗り継いで一時間かかるから、瑞樹の叫びは正当なものだ。

(毎度毎度遅刻してるんだから別に……)

「仕方ないですね。三塚、あれを」

 氷のような冷たい声が室内に響くと、その後はシーン、と何も聞こえなくなった。瑞樹の要求に老執事が、

「瑞樹様、いくら何でもそれはやりすぎかと……」

 困り果てた声を絞り出す。

一体何を相談してんだ。頼むからもう少し寝かせてくれ。

昇はごろん、と寝付けなかったベッドで寝返りをうつ。

「いいです。三塚がやらないと言うのなら、私が」

「……わかりました」

 渋々頷くように三塚が答えると。

 バシャア!

「おわぁあ!」

 何だ! 一体何がこの身に起こったんだ! しゃっけえ! とにかく冷てえぞ! 尋常じゃなく!