教室
腹を抱えてカラカラと笑い出している司影の姿を捉える。
他の生徒も笑いを噛み殺し、感情の表現が巧く読み取れない玲於奈でさえ、頬の辺りが明らかに引き攣っている。
そんな彼女達を見て、昇も何が起こったのか理解したようだ。瞬かせていた眼が急激に怒気を孕み、拳をわななかせながら、スッ、と立ち上がる。
「……ふ、ふ、ふ、ふ、ふっ」
俯いた顔からは不気味な笑いが洩れてくる。
それを見て司影は背を向け、一目散に逃亡。
「待あちやがれっ! この男女っ!」
昇は袖をまくり上げ、机を飛び越えてすぐさま司影を追いかける。
玲於奈はドタドタと駆けて行く二人を軽く見張った眼で見つめ、次いで教室に残っている生徒達に視線を向ける。
彼等は玲於奈に向けて両肩を竦め、微苦笑している。『あんたも大変だな』という表情。それに玲於奈も、あるかなきかの笑みを彫像めいた顔に象り、教室を後にした。