独演会
続きは言わせずに言葉を被せる。字久はやや不服そうに、『最近、私の話を聞いてくれませんね、昇君』と呟き、
「暮崎・リール・玲於奈。その名からわかるようにハーフ。十七歳、彼氏なし。**地区にアパートを借りて一人住まい、と戸籍上はなっています」
「戸籍上って、字さん、どっからそんな情報持ってくるんですか?」
「先生方にさりげなく探りを入れて、ですね。他にはコンピューターにハッキングを仕掛けるというのもありますし、今回のケースでは使えませんでしたが、近しい方に接近して情報を」
「で、戸籍上って、何かあるんですか?」
字久の口上を遮ったにも関わらず、彼はそこでニヤリと笑った。
「そこです。まさにそこなのですよ、昇君。私、高遠字久は彼女に接近すべく住所に記載されているアパートまで一昨日の夕方、瑞樹さんに呼び出される前に彼女をつけたのですよ。ひたひたと息と足音を殺し一定の間隔を保って」
……ストーカーだ、こりゃ……
「ですが彼女、私が尾行していた事に気付いたのか姿を眩ませたんですね。初めてですよ尾行が失敗したのは」
初めて? 今まで何人尾行してんだ、この人は?
つい呆れた表情を見せてしまう昇。
だがそんな事は全く気にとめず、両手を端山昇というたった一人の聴衆に向けて広げ、字久の独演会は続く。