迎え
くさっぱらでねっころがりながら、そらをみている。
あおい、どこまでもあおいそら。
そらのくもは、わたあめみたいにふわふわしている。
「待たせたな、小僧」
「おぼうさん、おそいよ」
ぼくはへそをまげたように、もんくをいう。
あらしのよるから、いっしゅうかん。
ぼくたちは、こうしておひるどきにあうようになった。
あたらしい『かぞく』は、なにかごちゃごちゃしたことがあって、ぼくをまだむかえにこれなかった。
だから、ぼく、まだあのおうちにいるんだけど……
いばしょがないから、こうしてこのひとと、おはなししている。
「ふむ。傷は大分治ってきたな」
ぼくのひだりてをみて、おぼうさんはあみがさのむこうから、とてもちいさなこえでしゃべった。
「ねえ、おぼうさん」
おぼうさんがぼくのほうをみる。
ぼくがこのひとにさいしょにきいたのは、このひとの名前だった。でも、このひとは、なまえをぜんぜんおしえてくれなかった。
だから、あだなをつけたんだ。
さいしょ『せんせい』とよんでみた。とてもあたまがよさそうで、がっこうのせんせいみたいだったから。
なんか、むっ、とされたみたいだったから、このなまえがきらいなんだ、ってぼくはおもった。がっこうのせんせいが、きらいなのかもしれない。
しかたないから、なまえをかえて、こうよんだんだ。
『おぼうさん』って。
だって、そのかっこうが、おぼうさんなんだもん。そのほかには、おもいつかなかったし。
つえをおいて、おぼうさんがぼくのとなりにすわる。
「まだ、迎えは来ないのか?」