三日月の絆その3

刻印

刻印

これまでのおはなしで、『むかえ』が『あたらしいかぞく』のこ

とだとわかっていたぼくは、

「あした、くるって」

 とてもちいさなこえでこたえた。

そうか、っていって、おぼうさんはだまりこむ。

 このひとは、せんせいみたいにたくさんのことをしっていたけど、それはぼくのほうからきかないと、おはなししてくれない。

 いつかきこう、いつかきこう、っておもっていたことをはなそうと、いきをおおきくすった。

「このひだりて、なんなのかおぼうさん、わかる?」

 そういって、ひだりてについた、さんかくかくけいみたいなきずをおぼうさんにみせる。

 おぼうさんは、あみがせをたてにゆらして、

「……『概念の具現』の一種、『魔封じの刻印』。それはあらゆる魔力の源を断つ、魔術師殺しの逸品。これと向き合いたいと考える魔術師はそういまい」

 そういうけど、ぼくはなんのことかよくわからない。

 ただ、すごいものだ、っていいたいのはわかる。

 でも……

「でも、ぼく、できそこないなんだ」

 みんないってた。

 ぼくは、けっかんひんだ、って。

 まじゅつのつかえないものを、『とうしゅ』になどできるかって。

「みずきも、いろいろなことできるのに、ぼく、なんにもできないんだ。だから、いきている『かち』なんてないんだ。おぼうさんがいっているみたいに、すごいちからなんてないんだ」

 おぼうさんはぼくのほうをみて、

「小僧」

 ぼくのほほがビタッ、っておとがした。おぼうさんにたたかれたんだってことが、すぐにはわからなかった。

よこにそれたぼくのかおを、おぼうさんががっしりとごつごつしたてでつかむ。

「二度とそんな台詞を吐くな。自身を貶める言葉は、そのまま自身への呪いとなる」

 あみがさをあげると、めのいろがかたっぽうだけあおい、おぼうさんのかおがみえた。

ひげがもじゃもじゃはえていて、ほほにばってんのきずがあるそのかおは、とてもおこっているようにみえた。