三日月の絆その3

屋敷

屋敷

やはり、屋敷の通路にも見覚えはない。高そうな絵画や動物の剥製が所々に設置されていたが、別にそれを見て感慨深いということもない。ギチ、ギチと鳴る床が少々不快と言えば不快だが、そんなことを言ってもどうにもなるまい。照明もやや明かりが不足していると言わざるをえないだろう。

「この辺りは普段使うことがないので、あまり手入れが行き届いていないんです」

昇の心情を察したのか、脇にいる瑞樹が説明する。二人の前を、ランプを持つ執事は申し訳なさそうに顔を俯かせる。

もっとも、照明に関してはランプを持つ彼が先導しているので、暗い、という事はないのだが。

「ここです。三塚は待っていて」

畏まりました、と返答すると瑞樹にランプを手渡し、三塚と呼ばれた老人は数歩下がる。瑞樹は鍵穴に入れた鍵を回し、

「……兄さん、中はちょっとした事になってるので……気をしっかり持って下さい」

唾をごくりと飲み下し、ドアを開く。

その隙間から覗き込むように昇が入る。

「!」

赤だった。壁にぶちまけられていたのは、赤だった。昇の頭の中に浮かんだ言葉は、その一言だけ。