屋敷
やはり、屋敷の通路にも見覚えはない。高そうな絵画や動物の剥製が所々に設置されていたが、別にそれを見て感慨深いということもない。ギチ、ギチと鳴る床が少々不快と言えば不快だが、そんなことを言ってもどうにもなるまい。照明もやや明かりが不足していると言わざるをえないだろう。
「この辺りは普段使うことがないので、あまり手入れが行き届いていないんです」
昇の心情を察したのか、脇にいる瑞樹が説明する。二人の前を、ランプを持つ執事は申し訳なさそうに顔を俯かせる。
もっとも、照明に関してはランプを持つ彼が先導しているので、暗い、という事はないのだが。
「ここです。三塚は待っていて」
畏まりました、と返答すると瑞樹にランプを手渡し、三塚と呼ばれた老人は数歩下がる。瑞樹は鍵穴に入れた鍵を回し、
「……兄さん、中はちょっとした事になってるので……気をしっかり持って下さい」
唾をごくりと飲み下し、ドアを開く。
その隙間から覗き込むように昇が入る。
「!」
赤だった。壁にぶちまけられていたのは、赤だった。昇の頭の中に浮かんだ言葉は、その一言だけ。