三日月の絆その3

瑞樹

瑞樹

残留魔力を消す事に関しては炎の行使よりは手間がかからないし、何より自分の正体を隠すためには絶対に必要な行為。『陰陽寮』や播磨家に追われれば厄介だと考えるのは当然だ。

(だがジジイの意思力をどうやって粉砕したかが最大の問題だな。『こっくりさん』のように複数で呪術を仕掛けたのか? だとすりゃ犯人は複数か?)

自らの推論を次々とかつ複数にわたって構築していき、矛盾点を炙り出し始める。

(それに、どうして殺害犯は目撃者のメイドさんを殺さずに逃げたんだ? 単に慌てていたのか? 逃げるのが先決と考えたのか? 暗かったから顔までは見えていないと思ったのか? あるいは魔術師じゃないから殺すまでもないと判断したか)

「どうしたんですか、兄さん。難しそうな顔をして」

 瑞樹の問い掛けに昇は顔を上げる。

「そりゃあな。あのジジイ……爺さんが殺されたらな」

 しかめっ面で言うが、普段の言葉使いが出てしまい、慌てて訂正する。そんな昇を見て瑞樹は沈痛そうな声で、

「……やはり、兄さんは播磨を恨んでいますか?」

 静けさが室内に降りる。

「兄さんの左手に『魔封じの刻印』を現したのは他ならぬ叔父様。そしてそれを後押ししたのは播磨家。結果、兄さんは……」

「その話はよそうぜ、瑞樹」